ネットショップは初期投資・ランニングコストが小さいため、個人でスタートするにはうってつけです。日本国内には420万店近いネットショップが稼働しており、そのうちASP型とショッピングモール型が9割を占めています。多くの人がネットショップを個人で開業し、小さくスタートして大きく育てています。今回の記事では、ネットショップを個人で開業するための流れについて解説。くわえて、ネットショップを成功させるためのポイントを紹介します。今や個人でもネットショップが開業できる時代です。事前準備をしっかりと進め、スムーズにネットショップを開業しましょう。
目次
ネットショップを個人で開業する流れ

ネットショップを個人で開業する流れについて解説します。
事業計画
ネットショップを始めるにあたって、事業計画を立案しましょう。具体的には以下のようなことを決めてください。
- ネットショップのコンセプト
- 扱う商品の種類
- 扱う商品の点数
- 集客の方法
- 利用するECサイト構築サービス
- 立ち上げの予算やランニングコスト
特に、「扱う商品の種類」と「ネットショップのコンセプト」は、ほかのネットショップとの差別化につながります。そのほかにも、市場環境の分析や市場アクセス、経営していく上でのリスクなどを事業計画書にまとめて可視化しましょう。扱う商品の種類を決めるにあたっては、仕入れ先や生産方法も検討してください。事前にしっかりと事業計画を立てれば、その後の開業もスムーズに進みます。
商品の準備
個人のネットショップで大事なポイントは、扱う商品をいかに仕入れるかです。商品には「既製品」「オリジナル商品」の2種類があります。既製品の仕入れには「ネットで仕入れる」「現地に赴いて仕入れる」「問屋街から仕入れる」といった方法があります。
オリジナル商品の場合は生産方法や原価、コストをしっかりと検討しましょう。個人でオリジナルグッズを製作できるサービスも数多くリリースされています。たとえば、「ME-Q」「オリジナルグッズラボ」「pixivFACTORY」「SNAPS」「ファンクリ」などが有名です。商品はネットショップの看板です。しっかりと事前に準備をしましょう。
必要な届け出や許可の取得
届け出や許可が必要な場合、事前準備段階で取っておきましょう。届け出や許可が必要なジャンルは以下になります。
- お酒
- 高度管理医療機器
- 古物(中古品)
- 食品
これらの商品を扱う場合は、それぞれ必要な届け出や許可を取ってください。たとえば、お酒の場合は「通信販売酒類小売業免許」「酒類小売業免許」「酒類製造免許」が必要となります。ネットショップで販売したいものが決まったら、届け出や許可が必要ないかどうかリサーチしましょう。
参考:国税庁ホームページ
出店方法の決定
個人でネットショップをする場合、出店方法にはいくつかの選択肢があります。「ショッピングモール型」「ASP型」「パッケージ型」の3種類のECサイト構築サービスから、適切な方法を選びましょう。
ショッピングモール型はYahoo!ショッピングや楽天市場、Amazonに出店する方法です。ショッピングモール型は集客や宣伝に強いですが、自分のネットショップを自由にカスタマイズできません。デザインなども自由にできないため、ブランディングの面ではほかの方法に劣ります。
ASP型は、ベンダーがクラウド上で提供するECサイト構築サービスです。初期費用やランニングコストが安く、デザインテンプレートで自由にデザインできます。ただし、カスタマイズ性に関しては高くありません。また、集客や宣伝も自分で行わないといけません。
パッケージ型で低コストなのは、オープンソースで提供されているECサイト構築サービスです。「EC-CUBE」「WelCart」「Magento」などが有名です。オープンソースのECサイト構築サービスは初期費用が安く、ランニングコストもレンタルサーバー料金だけ。ただし、ベンダーからのサポートがないため、知識やスキルが求められます。ECサイト構築サービスにはそれぞれ特徴があるので、それらを踏まえた上で、適切な出店方法を決定しましょう。
ネットショップの構築
ECサイト構築サービスを選んだら、実際のネットショップを構築しましょう。ショップのデザインを決めたり、商品を登録したりしてください。この作業は、選ぶECサイト構築サービスによって異なります。できるだけ操作が直感的で、簡単なECサイト構築サービスを選びましょう。
なお、デザインについてこだわり始めると、いつまで経ってもデザインが決まらないケースがあります。ある程度大雑把にデザインできたら、そうそうに商品の登録をなどを行いましょう。
開業届の提出
個人でネットショップを開業するにあたり、開業届を提出することも頭に入れておきましょう。開業届は開業してから1ヶ月以内に、税務署に提出することが原則です。開業届を出しておけば確定申告を青色申告で出せます。青色申告はさまざまな控除が認められていたり、赤字を3年間繰り越せたりします。税制上有利になりますので、開業届を出して青色申告しましょう。
個人でネットショップを成功させるポイント

個人でネットショップを成功させるポイントについて紹介します。
初期投資を抑える
個人でネットショップを始めるなら、最初は小さくスタートするのがコツです。そのため、初期投資はできるだけ抑えましょう。ただし、必要な投資は思い切って行いましょう。たとえば、ネットショップのデザインテンプレートは、ブランディングのためにも重要なポイントです。無料ですませて無難なデザインにするより、有料の優れたデザインテンプレートを利用しましょう。
ランニングコストは小さく
ネットショップを開業した当初は、よほど上手くいかない限り売り上げは少ないものです。そのため、ランニングコストはできるだけ小さく抑えましょう。たとえば、ランニングコストの安いASP型やパッケージ型を使ってネットショップを構築してください。ASP型の中には、売り上げが上がらない限りはランニングコストゼロのサービスもあります。
在庫は少なく
個人のネットショップで恐ろしいのは在庫リスクです。在庫はそれだけで場所を取りますし、場所と取ればコストもかかります。個人でネットショップを立ち上げたばかりなら、在庫は最低限にしておきましょう。在庫を一切持たない、ドロップシッピングといった形態もあります。在庫リスクを抑えたいなら検討してみましょう。
集客は低予算からスタート
ネットショップのマーケティングにおいて、集客や宣伝は重要です。宣伝は低予算から始めてみるのがおすすめ。たとえば、AとBという2種類の広告を打って、ABテストを行いましょう。ABテストで広告内容を改善し、より効果的な広告になった段階で予算をかけましょう。
インターネット広告には以下のような形態があります。形態によって特徴、メリット、デメリットが異なります。自分のネットショップに適切な広告の種類を選択しましょう。
- リスティング広告
- 純広告
- アドネットワーク
- DSP
- アフィリエイト広告
- ネイティブ広告
- SNS広告
- 動画広告
- メール広告
低予算で始めるなら「リスティング広告」「ネイティブ広告」などがおすすめです。商品の種類によってはSNS広告も有効でしょう。また、広告とはやや異なりますが、Googleマイビジネスは無料でネットショップを宣伝できる手段です。広告と併せて検討しましょう。
まとめ
ネットショップは資金が少なくても開業でき、ランニングコストも多くはかかりません。そのため、個人で起業するジャンルとしてはうってつけです。ネットショップを開業するには、「事業計画」「商品の準備」「届け出」「出店方法の決定」などさまざまなことをクリアする必要があります。
事業計画では、ネットショップを失敗しないためにできるだけ初期投資、ランニングコストを抑えるようにしましょう。商品はほかの事業者との差別化が必要不可欠です。事前にしっかりと準備することで、ネットショップを成功に導くことができます。個人でネットショップを開業し、小さくスタートして大きく育てましょう。
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