ECサイトのトレンドを理解しておくことは、ECサイトを運営するうえで重要なことです。IT関連の技術的な進歩はもちろん、消費者の動向なども目まぐるしく変わっていくので、常に新しい情報を取得するよう心掛けなければ、時代に取り残されてしまいます。ここでは、ECサイトのトレンドとこれから取るべき対策を解説するので、最後までお読みいただき、ECサイトの運営に役立ててください。
目次
押さえておきたいトレンド7選
EC化率
ECサイトのトレンドをつかむために把握しておきたい指標の1つに「EC化率」があり、全ての商取引のうちの「ECによる取引が占める割合」のことを指します。経済産業省が2021年7月に発表した内容によると、2019年から2020年にかけてのBtoCにおけるEC化率の推移は以下のようになっています。
この報告によると、コロナ禍で旅行や外食などのサービス関連の消費が大きく落ち込んでいますが、物販関連とデジタル関連はEC化率が向上しています。EC化率の詳細については、経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」のページで確認できます。
DtoC(D2C)
DtoCまたはD2C(Direct to Customer)とは、企業が中間販売業者を介さず、顧客に直接商品を販売する形式のことです。企業が顧客と直接やり取りを行うため、顧客からの要望が伝わりやすく、その対応も直接顧客に届くことがメリットです。
また、DtoCにより企業の独自性を表現しやすくなり、他社との差別化が進むことが期待されるので、今後も大きな可能性を秘めています。DtoCの普及は、ShopifyのようなプラットフォームでECサイトを簡単に設立できるようになったことが大きく関係しています。
「オムニチャネル」と「O2O」
オムニチャネルとは、オムニ(全ての)とチャネル(経路)が示すように、顧客が商品を購入する際に接するあらゆる経路を有効活用することを目的としたマーケティングです。O2Oは「オンラインtoオフライン」の意味で、オンラインショップ(ECサイト)を利用して顧客をオフラインショップ(実店舗)へ流入させることを狙うマーケティングです。どちらもECサイトを利用した新しい販売活動の形で、多くのショップが成果を得ています。
OMO
OMOとは「Online Merges with Offline」の略で、オンラインショップ(ECサイト)とオフラインショップ(実店舗)を併用する販売活動のことです。先述したオムニチャネルやO2Oとも似ていますが、若干の違いがあります。
オムニチャネルはほぼ商品の売却のみを目的としていますが、OMOは顧客が体験する全ての活動の改善を目指しており、オムニチャネルをさらに発展させた考え方とも言えます。O2OはおもにECサイトから実店舗へ顧客を誘導することを目的としているので、OMOの方がより多角的な販売活動を展開できます。
外部ID決済
外部ID決済とは、ECサイトの決済をAmazonや楽天市場などの大手ECモールに登録してあるIDと連携して行う方法で、多くのECサイトが導入を始めています。最大のメリットは決済に手間がかからないことで、クレジットカード決済のようにカード番号や住所などを入力する必要がありません。この利便性の高さによって「カゴ落ち」と呼ばれる状態を減らすことができ、コンバージョン率の向上が期待できる決済方法です。
AIの活用
AIは既に私たちの暮らしのさまざまなところに導入されていますが、ECサイトにもAIを導入する傾向が見られます。例えば、ECサイトに訪問した顧客を接客をしてくれるツールや、顧客の行動を分析するツールなどが既に利用されています。また、翻訳アプリにもAIが導入されており、よりネイティブに近い翻訳を行うことでコミュニケーションが円滑になるので、越境ECを展開するためには有効です。
推し消費
近年の新しい消費の形の1つとして「推し消費」があり、特定の個人や商品の熱烈なファンであるなど、顧客の趣向に強く基づいた消費のことを指します。推し消費の特徴は、好きなものに対しては金銭を惜しまない傾向が強いということです。また、サスティナブル消費のように顧客の理念に基づいた消費や、コロナ禍で販売が落ち込む業界を応援するための消費も増えており、これらも広い意味での推し消費と言えます。
ECサイトがこれから取るべき対策は?
外部ID決済の導入
決済方法を多く導入することはECサイトの繁栄につながりますが、より時代に合った方法を導入することも重要です。これまで主流であったクレジットカード決済は、入力の手間がかかることによりユーザーの「カゴ落ち」が懸念されていました。先述したように、外部ID決済は非常に利便性が高いので多くのユーザーの支持を得ており、カゴ落ちの減少も期待できるので、積極的に導入すべきです。
コロナ禍による消費の変化に対応
これはECサイトに限ったことではありませんが、コロナ禍が市場に与える影響を十分に考慮してマーケティングを行う必要があります。2021年は不要な外出を控える消費者が多く、自宅で使用する物品の購入が多かったことは周知のとおりです。2022年にはその反動で、自宅用商品の購入が控えられる代わりに、少しずつ旅行や外食などの消費が回復する可能性があるので、念頭に置いて販売活動を行うと良いでしょう。
価格競争の回避
2022年は大手企業のEC参入がますます進む見込みで、競争が激しくなることは避けられません。同時に、世界情勢の不安定などにより原材料が高騰していることもあり、価格競争が厳しくなることが予想されています。
そのような状況で中小企業や個人のECサイトが生き残るためには、価格競争を勝ち抜くことは非常に困難で、むしろ価格競争を回避するほうが得策です。商品やサービスのオリジナリティの追求や、ブランディングの強化など、他社商品との差別化を図って生き残りの道を探りましょう。
複数チャネルの導入
複数チャネルとは「マルチチャネル」とも呼ばれ、複数の媒体を用いて販売活動を行う手法のことです。既に近年では店舗がブログを公開したり、実店舗とECサイトを併用するショップも多くなりましたが、さらにSNSやアプリなどを用いたマーケティングも盛んになっています。このような複数チャネルの導入は、OMOへの対応を進めることにつながり、ECサイトがこれから生き残っていくための有効な手段となるでしょう。
サスティナブルを意識した販売活動
サスティナブルとは「持続可能な(sustainable)」という意味ですが、近年の環境保護意識の高まりとともに、サスティナブルは地球環境を維持する活動を意味するようになりました。そのことが消費者意識にも影響し、特に「Z世代」と呼ばれる若い世代は、サスティナブル消費によって社会貢献したいという意識が強いことが明らかになっています。
似たような意味を持つ「SDGs」や「エシカル」も、消費者の行動に少なからず影響を与えており、それらを意識した販売活動を行うことも有効です。
まとめ
EC業界を取り巻く状況は、トレンドの変化だけではなくコロナ禍や世界情勢の不安定などがあり厳しいですが、ポイントを押さえて活動すれば大きな損失は防げます。この記事を参考にしていただき、時代の流れに合った方法を積極的に導入して、販売競争を勝ち抜きましょう。
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