ECサイト構築の際に受給できる補助金とは?制度ごとに詳しく解説

コロナ禍により国民の消費活動が冷え込み、業績が思わしくない企業が続出しています。そんな企業を支援するために、国や自治体から補助金が支給される制度があることをご存知でしょうか?実は、ECサイトを構築する際にも、補助金を受給できる可能性があるのです。ここではECサイトを構築する際に受けることができる補助金について解説します。

どんな補助金が受けられる?

どんな補助金が受けられる?

現在、業務のIT化を進める企業に対して、国や自治体からさまざまな補助金が支給される制度がありますが、おもに以下の5種類が代表的です。

  1. 事業再構築補助金
  2. IT導入補助金
  3. 小規模事業者持続化補助金
  4. ものづくり補助金
  5. 各自治体が提供するIT補助金

これからECサイトを構築しようとする場合は、上記の補助金のいずれかを受けることができる可能性があります。受給できる金額はさまざまですが、これらの補助金を受給することができれば、コロナ禍で業績が落ち込んでいる企業の大きな助けになるはずです。次項からは、それぞれの補助金について1つずつ順に解説します。

事業再構築補助金

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化し、事業を再構築する必要に迫られた企業に対して国から支給される補助金です。中小企業や小規模事業者を対象としており、いくつかの種類がありますが、ECサイトを構築する際の費用は、最も一般的な「通常枠」が適用されます。

「通常枠」が適用されると、中小企業の場合は費用の2/3まで(6000万円を超える場合は1/2まで)、中堅企業は費用の1/2まで(4000万円を超える場合は1/3まで)、最大で1億円もの補助金が支給されます。また、補助金を受けたとしても後に返済する義務は発生しないので、企業の負担にはなりません。

事業再構築補助金を受給するための条件は、おもに以下の通りです。

  1. 新型コロナウイルスの影響で業績が悪化している。具体的には、2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年か2020年の1~3月)の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している。
  2. 新分野展開・業種転換等の事業再構築に取り組む姿勢がある。
  3. 事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行・信金・ファンド等)も参加して策定する。

引用:経済産業省公式ページ

また、売上が30%以上減少している事業者には、緊急事態宣言特別枠が適用され、さらに厚い補助金を受給できる可能性があります。事業再構築補助金の詳細については、経済産業省の事業再構築補助金ページと、中小企業庁・事業再構築補助金事務局のホームページで確認することができます。

IT導入補助金

IT導入補助金

IT導入補助金は、その名の通り、新たにITのシステムを導入する企業に対して国から支給される補助金です。中小企業・小規模事業者・個人事業主を対象としており、新型コロナウイルス対策として設けられた「低感染リスク型ビジネス枠」として申請すれば、最大450万円・ECサイト制作費用の2/3を補助してくれる制度です。

ただし、IT導入補助金は国が認めたITツールの導入のみ対象となるため、導入したいツールが補助金の対象となっているか事前に確認しておきましょう。また、広告費はIT導入補助金の対象とはならないので注意してください。2022年版のIT導入補助金のスケジュールや、補助金の対象となるITツールなどの詳細については、公式サイトで確認することができます。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、Webサイトを制作するときにかかる費用や、運用するための広告費を補助する制度で、ECサイトもWebサイトの一種ですから対象となります。この制度は新型コロナウイルス対策ではなく、以前から行われているので、新型コロナウイルスの影響を受けていない事業者も補助金支給の対象になる可能性があります。

また、よく似た名称の制度として「小規模事業者持続化給付金」というものがありますが、全く別の制度なので注意してください。小規模事業者持続化補助金の制度で支給される補助金の金額は、一般型で最大150万円、コロナ特別対応型で最大200万円となっています。小規模事業者持続化補助金のスケジュールやその他の詳細は、公式サイトで確認することができます。

ものづくり補助金

ものづくり補助金

ものづくり補助金も、中小企業や小規模事業者を対象として補助金が支給される制度です。正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といい、企業の新製品や新サービスの開発を行う際に補助金を受給することができます。

「ものづくり補助金」という通称からは想像しにくいですが、正式名称が示すように対象となる範囲が広いため、新たにECサイトを構築する場合はもちろん、サイトをリニューアルする場合も受給の対象になります。

ものづくり補助金で支給される補助金の金額は、中小企業で費用の2分の1まで、小規模事業者には費用の3分の2まで、最大で1000万円が支給されます。ものづくり補助金の詳細については、公式サイトで確認することができます。

各自治体が提供するIT補助金

各自治体が提供するIT補助金

ECサイトを構築する際に受けられる補助金は、国から支給されるものの他に、各自治体から支給されるものもあります。都道府県ごとに行っている補助金制度もあれば、市区町村ごとに行っている補助金制度もあるので、所属する自治体の公式サイトで確認してみましょう。自治体が提供するIT補助金は、国が提供する補助金よりも金額は少ないかわりに、審査がそれほど厳しくはない傾向があります。

IT支援事業者

IT支援事業者

ここまで紹介してきた各補助金の受給を申請するにあたって、実際にECサイトを構築するなどの作業を行うことになるでしょう。しかし、それを自力で行うことは、日々の業務と並行して行わなければならないうえに、専門的な知識や技術が必要となるので大変なことです。

そのような企業のIT化をサポートするために、国によって認められた「IT支援事業者」という企業が存在しています。補助金を受けながらIT支援事業者を利用してECサイトを構築すれば、費用の負担が少ないうえに、スムーズにECサイトでの販売活動を開始できるでしょう。

IT支援事業者は、登録するために必要な17の項目を全て満たしているなど、審査によって国に認められているので、一定の信頼が置けます。一部では、IT支援事業者に認定されていないのに業務の請負を持ちかけてくる悪質な業者の被害も報告されているので、必ずIT支援事業者に登録されているかどうかを確認しましょう。

IT支援事業者に登録されている企業は、IT導入補助金の公式サイトで検索することができるので、お近くのIT支援事業者を探してみてください。

まとめ

新たにECサイトを構築するには費用がかかりますが、国や自治体が企業のIT化を後押ししているので、補助金を利用して費用の負担を減らすことは大きな意味があります。特に、コロナ禍で業績が厳しくなっている企業にとっては大きな支援となるはずで、まずは補助金を受給できるかどうかを申請してみると良いでしょう。そして補助金を有効に活用し、この機会にECサイトを構築して新たな販路を開拓するなど、業績の安定化を目指してみてください。

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